親が陥りやすい間違い(2)

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受験期が近づいてきて、相談メールが増えてきました。時期が時期なので、なるべく間髪いれずにご返信していますが、その中で他の保護者のみなさまにも役立つ話は今後もブログでご説明していきたいと思います。

さて、今回は塾の話。2学期になってうちも授業が増えましたが、多くの塾が直前授業を増やしているでしょう。授業を増やせば、当然宿題や課題が増えて、家での勉強時間は減るから「課題や宿題がこなせなくなる」ということになります。増えたのは仕方がないとしてどれからやればいいのか、優先順位をつけてくださいと相談したところ「ぜんぶ大事ですから、できるところまででいいからやってください。」と言われてしまったという話です。

しかし、それではなかなか計画も立てにくいでしょうから、私なりに優先順位をつけてご返信しましたが、問題は「量をこなす」という考え方。

受験が過熱してきて、競争率が上昇し、とそこまでは分かるのですが「量をこなさないと合格しない」という考え方がどうも私には釈然としないのです。もちろん勉強はしなければならないが、どこまでやれるのか、やはりしっかり見通しを立てておかないと、ひとつひとつの勉強の質が高まらない。

大きい塾にはありがちかちかもしれませんが、みんなにどーんと課題を与えて、できる子がいれば塾としてはOKでしょう。これは保険と同じです。だれが病気になるか、だれが事故に会うかはわからないが、ある確率で起こるわけだから、総数に確率をかけておけば期待値が出てくる。数が多ければ多いほど倍率に近づいてきますが、合格者の数は出るわけです。だから合格実績を出せば、会員は集まると考えるからどこの塾でも合格実績を○○中何名と出していくわけですね。

しかし、保護者のみなさんからすれば、他の子はどうでもいい。(すいません。)うちの子が入るかどうかが大事なわけで、その確率論の中で具体的な手が打てなければ意味がない。できもしない課題を与えられて、四苦八苦しても仕方がないわけです。

もちろんできる子は、できる子の競争をしてみたいと思う気持ちも強いので、それはそれなりに利用する手がいっぱいあるでしょう。しかし、うまくいかない場合もっと手を考えていかないといけないわけですね。

この場合はもっと強く塾の先生に優先順位を聞いてみるべきでしょう。(ただ、その先生が私は単科の先生だと思うのですね。他の教科のことについて余分なことはいえないから、こういう答になったのではないかと思うのですが。)

なぜ私が量をこなすことに疑問を持つかと言えば、子どもの持つ可能性を引き出すのがむずかしいからです。

私は算数の授業では白板に問題を書いて、子どもたちに解かせます。子どもたちはこの勉強方法が好きです。なぜか、じっくり問題を考えられるから、自分でも解きあげるチャンスがあるからです。おもしろい、解きたいと思えば自然、子どもたちの可能性は引き出されてきますが、最初から量がどーんとあると、その気持ちも萎えてしまうでしょう。そして慌てて問題を解けば、そんなにわかるわけはないから、結局のところ、力はあまりついていないということになるのです。

「おもしろいんだ」「とけそうなんだ」こういう気持ちを持っているとき、子どもの力は大変に伸びます。しかも全てのパターンを網羅することなどできないのだから、子どもの考える力、問題処理能力をつけていくしかないのです。

私は塾を再開するとき、以前のやり方はもうやめようと思いました。そういう塾はたくさんあるし、そういうところに合う子はその塾で目標を達成してくれればそれでいいのです。

そのやり方でうまくいかない、どうも分量が多すぎて自信をなくしている、そういう子にたくさんの人数のクラスで教えても意味がないから、教室は小さくしました。【エルフィー】はいくつかありますが、1つ1つはたぶん大きい塾の1教室分しかないでしょう。だからクラス分けなどありません。(高校受験はありますが。)

どういう塾を選べばいいか、それは子どもの状況で決まります。だから上手に選んであげてください。親がしっかりコントロールする気持ちを持っていないと、良い結果は得られませんから、ぜひその点はよく考えてあげてほしいと思います。塾はあくまで親が利用するものであって、「お任せ」するところではありません。

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親が陥りやすい間違い(2)」への2件のフィードバック

  1. ママ子

    またお邪魔します・・・
    >優先順位をつけてくださいと相談したところ「ぜんぶ大事ですから、できるところまででいいからやってください。」と言われてしまったという話です。

    またまた、『ウチのはなし!!』と思い、出てきてしまいました。少し前に塾に相談し、同じような回答を得て、こりゃあ、こっちで何とか考えるしかない・・・と思っていたところだったので・・・
    (『記述』の本人が「面倒だから」というのもそのものズバリ!ですし・・・{/face_naki/})

    >最初から量がどーんとあると、その気持ちも萎えてしまうでしょう。そして慌てて問題を解けば、そんなにわかるわけはないから、結局のところ、力はあまりついていないということになるのです。

     ・・・というのも、この9月に入り、我が子について感じ始めていた事なので、もっと絞らねば・・・と丁度現在思案中のところでした。。。

    『今頃、こんな風に悩んでいるなんて・・・』という焦りのココロと、『でも、兎に角、考えて前に進むしかないんだし・・・』という自分で自分を励ますココロ、この時期の親の心はとっても複雑です。。。{/kaeru_alone/}

    >親がしっかりコントロールする気持ちを持っていないと、良い結果は得られませんから、ぜひその点はよく考えてあげてほしいと思います。塾はあくまで親が利用するものであって、「お任せ」するところではありません。

    そうですよね、ココロにしかと刻みたいと思います。{/hiyo_do/}

    いつも『はっ!』と気付かせてくださるブログです。

  2. 田中です。

    Unknown
    コメント、ありがとうございました。

    何かあれば、またメールでもご連絡ください。

    メール gorilla@elfi.jp です。
    (ぼくのあだながゴリラなので。)

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