2021年浦和明けの星の問題です。
自然界に生息する生物の個体数は,さまざまな影響によって急に増加したり,急に減少したりすることがあります。カナダとアラスカの北部の森林に生息するカンジキウサギ(図1)とカナダオオヤマネコ(図2)の個体数は,増減をくり返しながら変動していることが知られています(図3)。カンジキウサギはカナダオオヤマネコに食べられるため被食者と呼ばれ,カナダオオヤマネコはカンジキウサギを食べるため捕食者と呼ばれます。これに関する各問いに答えなさい。
問1 図3のグラフには,たて軸が2本あります(たて軸Xとたて軸Y)。一方がカンジキウサギの個体数で,もう一方がカナダオオヤマネコの個体数を表しています。カナダオオヤマネコの個体数を表しているのは,どちらだと考えられますか。X,Yで答えなさい。また,そう判断した理由を10文字以内で答えなさい。
問2 図3のグラフのうち,カナダオオヤマネコの個体数の変化を表しているのは,どちらだと考えられますか。また,その理由は何ですか。下の文中の空らん(①)にカナダオオヤマネコの個体数の変化を表しているグラフをあ,いで答え,(②)に理由を10文字以内で答えなさい。
文:( ① )のグラフがカナダオオヤマネコの個体数の変化を表していると考えられる。その理由は,いの個体数の変化の方が,あの個体数の変化よりも( ② )からである。
問3 星樹君と明子さんは、ある島に生息しているカンジキウサギの個体数を調べようとしています。会話文を読んで,(a),(b)に答えなさい。
星樹君 「全部の個体数を数えるのは大変ですよね。」
明子さん「およその数でいいなら,島を同じ大きさのいくつかの区画に分けて,その1つの区画に何個体いるかを教えて,分けた区画の数をかけてあげればどうかしら?例えば,10区画に分けて,1区画に15個体いたのであれば,島には10×15=150個体くらいのウサギがいるって考えられないかしら?」
星樹君 「でも,ウサギは動き回るから,1度数えたウサギを2回も3回も数えてしまうことになったり,逃げ回って数えられないウサギも出てしまったりして,かなり実際の個体数と変わってしまいませんか?」
明子さん「確かにそうね。何か,良い方法はあるかしら?」
星樹君 「こんな方法はどうでしょうか?まず,じゅうぶんな数のウサギを捕まえて印をつけます。そして印をつけたウサギを同じ場所に戻して何日か待ちます。何首か経った後に同じようにじゆうぶんな数のウサギを捕まえます。そしてその中に以前も捕まえて印をつけたウサギが何個体いるかを調べれば,島に生息しているウサギの個体数が推定できると思います。」
明子さん「・・・なるほど。[2度目に捕まえたウサギの数]と[その捕まえたウサギの中にいる印をつけたウサギの数]の比が,[島に生息しているウサギの数]と[その中にいる最初に捕まえて印をつけたウサギの数]の比と同じと考えるのね。この方法はうまくいきそうね。」
星樹君 「この方法で用いる印はどんなものが良いと思いますか?」
(a)ある日,カンジキウサギを何個体か捕まえて印をつけ,同じ場所に戻しました。数日後に27個体のカンジキウサギを捕まえたところ,印がついていた個体は3個体いました。このことから島にいるカンジキウサギの個体数は,729個体と考えられました。最初に捕まえて印をつけたカンジキウサギは何個体ですか。
(b)下線部について,もっとも適当な印はどれですか。ア~カで答えなさい。
ア.また捕まえる必要があるので,どこにいてもすぐに見つけられるように電波発信機付きの首輪をつける。
イ.また捕まえる必要があるので,動きが鈍くなるような重い服を着せる。
ウ.行動に影響を与えないように,すぐにはがれるようなシールを背中につける。
エ.行動に影響を与えないように,無害な油性ペンで目立たないところに小さな文字を書く。
オ.カナダオオヤマネコに食べられないように,カナダオオヤマネコが嫌がる音を出す装置をつけた首輪をつける。
カ.カナダオオヤマネコに食べられるように,カナダオオヤマネコが好むにおいをつける。
問4 星樹君と明子さんは,カンジキウサギの個体数の増減が,なぜ周期的になるのか,それぞれ仮説を立てました。会話文を読んで,(a),(b)に答えなさい。
星樹君の仮説:カナダオオヤマネコの個体数の増減が,カンジキウサギの個体数の変動に影響している。
明子さんの仮説:冬にカンジキウサギが食べるものの増減が,カンジキウサギの個体数の変動に影響している。
明子さん「星樹君の仮説が正しいかどうかを調べるためには,どんな実験をしないといけないのかしら?」
星樹君 「はい。ヤマネコ以外の動物にどのくらいウサギが食べられるかを調べないといけません。」
明子さん「ヤマネコ以外の動物が,どの程度ウサギの個体数の増減に影響を与えるかを調べる実験をすればよいわけね。私の仮説が正しいかどうかを調べるには,どんな実験をしないといけないのかしら?」
星樹君 「ウサギは冬の間,ヤナギなどの植物の枝先を食べているそうです。ある周期で冬にウサギの食べるものが少なくなることが,ウサギの個体数の減少につながっているかを調べる実験をすればよいと思います。」
(a)星樹君の仮説が正しいかどうかを確かめるためには,どのような実験を行えばよいですか。もっとも適当なものを選び,ア~オで答えなさい。
ア.カンジキウサギの事故死の割合や病死の割合を調べる。
イ.カナダオオヤマネコを排除したとき,カンジキウサギの個体数がどのように変化するかを調べる。
ウ.カンジキウサギのフンを調べ,季節ごとに何を食べているかを調べる。
エ.カンジキウサギが毎年,平均して何羽の子を産むかを調べる。
オ.カンジキウサギのオスの個体数とメスの個体数の年ごとの変化を調べる。
(b)明子さんの仮説が正しいかどうかを確かめるためには,どのような実験を行い,どのような結果が出ればよいですか。下の文の空らん( ① ),( ② )に当てはまる言葉の組合せとして,もっとも適当なものを選び,ア~カで答えなさい。
文:島を2つの区画(区画I,区画Ⅱ)に分ける。そして区画Iに生息するカンジキウサギはふだん通りに生活させ,区画Ⅱに生息するカンジキウサギには,冬の間,( ① )。この結果,区画Ⅱのカンジキウサギの個体数の増減の周期が区画Iのカンジキウサギの個体数の増減の周期と比べた時,( ② )ならば,仮説は否定できる。
【解説と解答】
問l 食べられてしまう方が数が多くなければ、生態系は成り立ちません。
(答え)記号 Y 理由 個体数が少ないから。
問2 食べられるものが少なくなってから、食べる方の数が減っていきます。
(答え)① い ② おくれている
問3 729:印をつけたカンジウサギ=27:3です。印はなるべく普段の生活に影響が出ないこと、あとから印をつけたことがわかること、を条件とします。
(答え)(a)81 (b)エ
問4 星樹君の仮説を証明する実験は、カナダオオヤマネコがいる場合といない場合の差を考えることです。明子さんの実験ではあとからエサを加えて比較します。餌を加えても差がなければ、影響は否定されます。
(答え)(a)イ (b)ア
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