闇雲に勉強させても結果はでません。したがってまず戦略を立てるということが重要になります。戦略をたてるうえでは、現状の子どもの力が実際にどのくらいなのかを考えてみる必要があります。
それは偏差値がいくつとか、合格可能性がどのくらいといった数値で判断するのではなく、何がどのくらいできるのかという視点で考えていかなければなりません。
たとえば数の性質に関しては、
(1)基本的な公式は理解している。
(2)基本問題は解ける。
(3)応用問題まで解ける。
の三つの段階があるでしょう。(1)はクリアしていて、(2)があやしいとなれば、それをどう理解させていくのか、練習するプランニングを考えていくわけです。
中学受験の範囲は広いですから、現状ではいろいろな課題が山積しているでしょう。まずは全部の範囲がどうであるのか、チェックしていきましょう。
子どもたちの話も聞かなければなりませんが、基本的にはこれまでのテストを見てみれば大方の傾向はわかるはずです。そのためにカリキュラムが組まれ、カリキュラムテストの結果がデータとして渡されているわけですから、それを分析してみてください。
私がよくアドバイスする方法としてグラフをつけてみる方法があります。
横軸に範囲、縦軸に科目別偏差値もしくは正答率をつけてみると、どの範囲が具体的にだめなのかがわかるでしょう。
あとは具体的にいつ、どのような学習をしてそれを補うかを考えるわけですが、すべてに手をつけることは難しいかもしれません。
むしろもっと、やる内容を絞り込んでいかないと、効率よい学習は望めないでしょう。私は第一志望を決めて、その学校で頻出する内容から優先順位を決めていく方法が一番合理的だと考えています。
また残された時間で、いつ、何をやるかという計画も重要でしょう。たとえば夏休みにすべての問題が解消されることはありえません。
ですから、いつまでに、何を改善するのかということを具体的にスケジューリングする必要があるわけです。
私は知識の暗記や、得点力をつけるための訓練は秋以降に、頻出する範囲の基本を確認したり、記述の練習をするのは早い時期からというように、勉強の内容を振り分けていつスケジュールするか考えていくべきだと思っています。
そしてその計画や戦略は子どもたちと共有していくと良いのです。
この学習は何のためにするのか、その目的を知っているほうが子どもたちにとってもやりがいがでてきます。そういうコミュニケーションが親のコーチングでもっとも大事なステップのひとつだと思います。
毎朝3題、100日間
勉強は子どもが自発的にやることがもっとも望ましい。実際に強制してやらせても、「いやいや」やるのではなかなか身につきません。
ただ、強制することに意味がないかといえば、そんなことはないのです。
たとえば計算問題を毎朝3題、100日間続けたとしましょう。これはどんなに眠かろうと、必ずやるということを強制します。
3題ですから、10分もかからないでしょう。
1日終わったらマルを1つ。こうやって100日間続けたとき、子どもが100個のマルを見てどう思うでしょうか?
そう、自信がつくのです。「やればできるんだ」ということがわかる。このために強制は必要な面も当然あるのです。
もちろん、すべてを強制されてくれば、子どもも親も息が詰まってしまうでしょう。
あくまで勉強は自発的に、自分ができると思ってやることが望ましいのです。ただ、「どうせ、できないし」「やっても無理だから」という考えを持ちやすい子どもには、「強制」して「自信を持たせる」ということも大事なテーマでしょう。
本来、勉強というのは自分が進んでやるようになれば、必ずできるものです。ところが中学受験生の場合、なかなか自分でやるようにならない。お母さんとすれば、だから塾に出してしまうということになるのですが、しかし、それで問題は解決しない。塾にいって勉強しているようでも、結局、自分で勉強をしようとしなければ、成績は上がっていかないものです。では、自分で勉強するようになるにはどうすればいいでしょうか。いくつかのヒントをまとめてみましょう。