水溶液と熱

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2012年 国学院久我山の問題です。


固体の物質が水にとけるときには熱の出入りがあって、水よう液の温度が上がったり下がったりします。また、その温度変化のしかたは物質の種類によって異なっています。固体の水酸化ナトリウムは水にとけて水よう液になるとき、熱が出てくるため温度が高くなります。保温容器内で、200gの水に固体の水酸化ナトリウムを0.4gずつ加えてよくかき混ぜたときの水よう液の温度を測りました。その結果を示したものが表1です。

次に、水の量を100g、150g、200g、…とし、それぞれに国体の水酸化ナトリウム1.2gを加えて混ぜたときの温度を測りました。その結果を示したものが表2です。


 次の各問いに答えなさい。

(1) 水酸化ナトリウム1.2gを水200gに加えてよくかき混ぜたときに、水よう液の高くなる温度を答えなさい。

(2)水酸化ナトリウム3.2gを水500gに加えてよくかき混ぜたときに、水よう液の高くなる温度を答えなさい。

 塩酸に固体の水酸化ナトリウムを加えてよくかき混ぜると、次の2つの変化が起こります。
(ア)国体の水酸化ナトリウムが水にとけるときに熱が出て、水よう液の温度が高くなる。
(イ)酸性の塩酸とアルカリ性の水酸化ナトリウム水よう液が混ざって、たがいの性質を打ち消し合うときに熱が出て、水よう液の温度が高くなる。
 なお、水よう液1gの温度を1℃高くするための熱の量は、水よう液の種類には関係なく一定です。

あるこさの塩酸200gに固体の水酸化ナトリウムを0.5gずつ加えてよくかき混ぜ、温度を測りました。その結果を示したものが次の図です。

 次の各問いに答えなさい。

(3)温度変化を示した上の図について、次の1~5の中から正しいものを1つ選び、番号で答えなさい。
 1 水よう液が酸性を示すのは、図の点Bから点Cまでである。
 2 水よう液が酸性を示すのは、図の点Aから点Cまでである。
 3 水よう液がアルカリ性を示すのは、図の点Aから点Bまでである。
 4 水よう液がアルカリ性を示すのは、図の点Aから点Cまでである。
 5 点Aでは酸性を、点Bでは中性を、点Cではアルカリ性をそれぞれ示す。

(4)この実験で用いた塩酸の量を100gにして、固体の水酸化ナトリウムを4.0gとかしたときの水よう液のおよその温度〔℃〕として正しいものを、次の1~5の中から1つ選び、番号で答えなさい。はじめの温度は21.5℃とします。
 1 30   2 32.5   3 35   4 37.5   5 40

(5)この実験で用いた塩酸200gと、2.0gの水酸化ナトリウムをとかしてある水よう液300gを混ぜたとき、水よう液の温度が何℃高くなるかを求め、もっとも近いものを次の1~5の中から1つ選び、番号で答えなさい。ただし、用いた水よう液はどちらも同じ温度のものとします。
 1 1.4   2 2.4   3 3.5   4 4.0   5 5.0


(1)表1から考えて0.4gごとに0.5℃上がっているので0.5×3=1.5℃になります。
(答え)1.5℃
(2)表2で水が100gから300gになると温度は3分の1になっています。
したがって
表1から3.2gを水200gの中にいれると、0.5×(3.2÷0.4)=4℃上昇しますが、水が500÷200=2.5倍ですから、4÷2.5=1.6℃になります。
(答え)1.6℃

(3)グラフから考えて、Bの段階で中和したと考えられます。
したがってAからBまでは酸性、Bで中性、その後はアルカリ性になります。
したがって5が正解になります。
(答え)5

(4)グラフから塩酸200gに水酸化ナトリウム2.0gで中和し、それまでは200gの塩酸に対して27.5-21.5=6℃温度が上昇します。一方中和した後は、200gの塩酸に対して30-27.5=2.5℃温度が上がります。

塩酸を100gにしたので、水酸化ナトリウムは1.0gで中和しますから、それまでの温度変化は熱量が半分になりますが、全体の量も半分なので6℃で変わりません。
残り3.0gの水酸化ナトリウムが溶けるのには塩酸200g、水酸化ナトリウム2gで2.5℃ですから塩酸100g、水酸化ナトリウム3gであるならば、2.5×(3÷2)×2=7.5℃になります。
したがって21.5+6+7,5=35℃になるので、3が答えです。
(答え)3

(5)塩酸200gで水酸化ナトリウムは2.0gで中和しますから、その時の温度上昇は6℃です。
これで水酸化ナトリウムはなくなってしまうので、200gであれば6℃ですが、全体が200+300=500gになったので6÷(500÷200)=2.4℃上がりますが、最初から2g溶けていたので、グラフでAからCまでの熱量のうち、BからCまでの分はありません。したがってBからCは200gで2.5℃でしたから、500gでは
2.5 ÷(500÷200)=1℃は中和のときに熱が出ないので、2.4-1=1.4℃になります。
(答え)1

(5)はミスがおきそうです。中和のときに溶けてできる熱量は発生しないことに注意してください。


「映像教材、これでわかる水溶液」(田中貴)

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