第47回 塾に行く前に

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    塾選びの時期です。来年2月から塾に通おうと考えておられる方は多いのでしょうが、塾を選ぶ前に、お子さんの学習準備は大丈夫でしょうか?
    進学塾というのは、カリキュラムがあり、そのカリキュラムに合わせて試験があります。最近は組み分け試験をする塾が多くなっており、15人から20人ぐらいのクラスで細分化されています。したがって、先生が入れ替わるし、いろいろな先生に教えられるという塾もあるでしょう。うちの子のことをわかってくれている先生の授業とは限りません。だから、授業を聞く素養ができているかどうかが、まず問題なのです。
    例えば算数の解説を聞いていて、式がそのまま計算になっていきます。その計算が頭の中で進まない、そうするといつの間にか、説明は先に進んでいてわからなくなる、4年生ではそういう子が無理に塾に来ているケースが多いのです。
    またカリキュラムがありますから、先に進みます。毎週、毎週のペースがそれなりに早いので、よくわからないまま、次に行くという状況が続きます。こうなると、本人は自信がない、だから学習に対する意欲がいまひとつわかなくなる。これがつまずく原因になるのです。
    私はあわてて塾にやるよりも、4年生のうちはしっかりとした基礎力を作るべきだと思っています。実際に入試に出題されるのは5年と6年で学習することがほとんどです。4年はつまり5年の基礎を作るわけで、それならば力のある子はどんどん先に進めばいいし、まだ十分勉強していない子は、自宅でしっかり理解することが大事なのです。塾のペースではなく、その子のペースで4年の内容を終えることを考えればいいのです。

    学校の勉強はきわめてやさしくなりました。この前もお話しましたが、同じ分母の足し算を6年生がやっています。ですから、学校の勉強ができている、というのは塾についていける目安にはまったくなりません。実際に小数や分数を扱う段になってくると、実はかけ算や割り算が十分でなかったということが露呈してきて、それが足を引っ張る場合が少なくないのです。今ならまだ十分間に合うわけですから、あわてて塾にやるよりも、計算や読解をきちんとやる方が結局は早道なのです。

    受験するなら塾に、というのはもちろんその通りなのですが、塾についていける準備ができている子はそう多くはありません。それが組み分け試験という競争にさらされたとき、どうなるのか。あまり深く考えておられない方が多いように思うのです。
    寒いうちから塾に行くよりは、むしろ家で十分計算の練習をして、それから行っても遅くはないのではないかと思うのです。少なくとも子どもが自信をもって塾の授業にいける準備をしておいた方がいいでしょう。
    最近は通信教材もありますし、また参考書や問題集はそれこそ捨てるほどあります。上手に選んであげれば、塾の勉強と同じことは十分できるでしょう。むしろ自分で勉強する姿勢や習慣を身につけてからでないと、塾の効果が半減してしまうので、注意が必要なのです。
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